金子正次遺作シナリオ集 (幻冬舎アウトロー文庫)
によって 金子 正次
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内容紹介 シナリオなんて書きたくないよ、俺は主役がやりたいだけなんだ。金子は死ぬまでそう言いつづけた。その情熱を伝える「竜二」を始め「チンピラ」「ちょうちん」など5作品を完全収録。 内容（「BOOK」データベースより） 最初の台本「チンピラ」は好評だった。しかし映画化の話は、主役が別の役者ならばという条件で終わってしまう。「俺は主役をやりたいんだ。シナリオなんて書きたくないよ」それから半年後、驚く勢いで金子は次の台本を書き上げた。「竜二」だった。「ちょうちん」「盆踊り」「獅子王たちの夏」など、金子の果てしない執念を伝える全シナリオを完全収録。
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ヤクザやチンピラが主人公なので、上下関係と仲間意識で固められた世界の描写は暴力的で犯罪的であり、読んでいるとヒヤリとする。意外に細かくて勤勉な日常の稼ぎの様子は、堅気の世界と同じと言うか、現金商売なので、むしろ厳しいとも言える。一方、舎弟や家族との日常や、故郷で親兄弟と過ごす時間の描写は、ユーモラスでアットホームな面がある。結末はどの作品も同じで、家庭からも故郷からもはみ出してしまう。「自分の意志ではみ出してしまった世界には二度と戻れない」と言うような、厳しい現実を突きつけられる。しかし、それはこの道に入ったときに分かっていたことなのだ。個人の決意やプライドでもあり、この世界で一番大事なメンツの問題なのだ。そうやって自分に叱咤しながら決意を新たにして、寂しさや悲しさを金と暴力で紛らわしている男たちの話だ。夭折した本人の映画口上を引用した前書きも熱いが、友人たちによるあとがきも熱い。生きていたら、どのような存在になっていたかは分からないが、大きな才能を失ったことは確実なようだ。
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