コミック June (ジュネ) 2008年 10月号 [雑誌]

平成12年出版の単行本に前書きを加え、タイトルと副題をひっくり返して文庫本にしたもの。しかし、前書きにもあるように中身はそれほど違和感なく、金融危機と政権交代に揺れる平成21年現在にもほぼ当てはまる。米国式資本主義(お金と株主が主で、従業員が従とする)は余りにも人的流動性が高すぎて、日本には馴染まない。日本は株主よりも従業員や関連企業、顧客といった人に重きを置く資本主義、つまり著者の言う人本主義(人が中心で株主利益が2番目)が良く馴染む。ただし、どちらの資本主義にしても利点と欠点はある。人本主義は従業員の雇用を大事にする。従って安心して仕事に打ち込め、社内外に構築した人的ネットワークと熟練した企業人が経営にコミットする。長期的な成長が見込める良い制度だ。しかし、行きすぎると環境変化に追随した事業リストラの先送りやリーダー育成の失敗に繋がる。生ぬるい人本主義では対応できない。経営そのものを見直し、デジタル化を進め、高齢化社会に対応し、優れたリーダーを育成することで日本企業は立ち直れるはずだと説く。